大破雑記帳

個人用メモな雑記ブログ いろんなことをざっくりと。

OpenWrt 21.02あれこれ

ざっくりと備忘録も兼ねたもの。詳細な点については公式のドキュメントを参照すること。

MT7621 SoC搭載機は19.07以前から設定を引き継いでのアップグレードは不可
スイッチングハブチップ部分 (MT7530)のドライバが、OpenWrt内の実装であるswconfig APIを使用したものからLinux Kernelで採用されているDSA (Distributed Switch Architecture)を利用したものに変更されたことにより、設定方法が異なることからコンフィグの互換性が無くなった為。
sysupgradeの際は通常通り行おうとすると "このファームウェアではサポートされない機種" というメッセージが出るが、DSAに絡んだメッセージも同時に出るので、確認の上 "-F" オプションと "-n" オプションを付けて設定を保持せず強制的にアップグレードする。
OpenWrtから見て上流に位置するLinux Kernelに既に実装が存在するにも関わらずOpenWrtで独自に実装を保守するメリットは薄いため、移行は必然的と言える。
BHR-4GRV2をar71xxから移行する場合は要再インストール
21.02ではar71xx targetが廃止され、ath79に一本化された。BHR-4GRV2は、ath79においてはFlash内のKernelとRootFSの配置の問題からパーティション構成をar71xxのものから変更しており、互換性が無くなったために19.07以前のar71xx targetのファームウェアから直接のアップグレードは不可になっている。
このことから、記事に書いた通りU-Bootの設定を行い再度インストールし直す必要がある。
19.07でath79のファームウェアを使用していた場合は、直接のアップグレードで問題無い。
realtek targetが追加された
21.02ではrealtek targetが追加された。名前こそ "realtek" ではあるものの源流は rtl838x target であり、今のところは安価帯寄りのマネージドスイッチに使用されるSoCファミリーのみがサポートされる。
masterにおいては国内メーカーである因幡電機産業のAML2-17GPもサポートされるが、21.02においてサポートされる機種は国外メーカー機のみ。
21.02.0時点ではオフロード周りにおいてIPv6の扱いに問題有
長らく21.02.0のリリースを遅延させていた原因の一つ。極度に重大な問題とは言えないこと、有効な解決策が一向に出てこないことから、これ以上待つことはできないと判断され21.02.0のリリースが決定された。問題が発生する通信を発生させる場合においてはオフロード機能を無効化することが推奨されている。
今後の .1 またはそれ以降のアップデートでの修正が見込まれている。
WZR-HP-G300NH2のファームウェアは21.02に存在せず
前述の通りar71xx targetは21.02においては削除済みでありリリースされない。その関係上、ath79に移植されていないWZR-HP-G300NH2のファームウェアは21.02に存在せず、利用不可。
なお、筆者(musashino_205)はこの機種の移植はモチベーション無し。今後誰かが移植するとしても、原則としてmasterに先にマージされることがルールとして定められており、それが21.02にも取り込まれるかは未知数。既に21.02.0がリリース済みであることから、取り込まれることは無く21.02の次のリリースになる気はする。
WZR-HP-G300NHのファームウェアは2種類ある
21.02において一本化されたath79 targetにおいて、WZR-HP-G300NHのサポートは2種類ある。
WZR-HP-G300NHがハードウェアリビジョンによってスイッチングハブチップを2種類 (RTL8366SR/RTL8366RB) のうちどちらかを使用していることに起因しており、適切な方を使わないとイーサネットが機能しない。
19.07以前からのアップグレードの場合は、元のファームウェアにおいてスイッチがどちらで認識しているかを確認し、ath79の2種類のサポートから適切なプレフィックスが付いている方を選択する。
新規に導入する場合、Forumに多少ハードウェアリビジョンの情報があるのでそれを参考にするか、一度適当な方を投げ込んでみてイーサネットが死んでいるようならもう片方を試すなどする。
なお、WZR-HP-G301NHは恐らくRTL8366RBを搭載するもののみ。